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記者が取材テーマを決める視点とは?
前回に続き、あるテレビ局の元報道記者の方に、テレビ局ではどのようにして番組内の企画を決めるか、ということについて話を伺った内容をご提供します。前回は報道番組の3種類の枠について解説しました。今回は、記者が取材先を決める情報源や、取材テーマを決める視点について解説します。
●取材先を検討する3つの情報源
前回解説したような3種類の枠の3つ目、「記者の裁量に委ねられた自由企画枠」について、記者は次の3つの情報源から取材先の情報を集めて検討しています。
1.企業からのプレスリリース
企業からのプレスリリースに関心を持ち、記者から問い合わせる
2.付き合いのある人や過去の取材者からの紹介
「こういうネタがある」と紹介される
3.Webサイト、SNS、新聞、雑誌、書籍などから見つける
企業のWebサイトやSNSの情報が取材に繋がるケールも増えています
ここで、「2.付き合いの人や過去の取材社」には、業界のキーパーソンというべき、顔が広くアンテナが高い人が含まれます。このようなキーパーソンとのつながりは記者にとって重要ですが、広報担当者もこのようなキーパーソンと交流を深めておくことも重要です。キーパーソンから間接的にメディアに紹介してもらえる可能性もあるためです。
●記者が取材テーマを決める視点
記者は、「記者の裁量に委ねられた自由企画枠」の取材を始めるにあたり、企画書を書いて企画会議(デスク)の承認を得ます。記者は、どのような視点で取材テーマを決め、企画書を書くのでしょうか。企業で実践しやすい2種類の視点をご紹介します。
1.社会問題や顧客の悩みの解決につながる視点
企業が提供する商品・サービスや事業活動のほとんどは、何らかの社会問題や顧客の悩みの解決につながるものです。このように、「社会問題や顧客悩みの解決につながる」という視点は、記者が取材テーマを決める上で重要です。
この視点で記者に取材を検討してほしい場合、企業の広報担当者は、社内の様々な担当者から情報を得て、次のようなストーリーを記者に提供することが有効です。
・これまでどのような問題や悩みがあったのか
・この商品・サービスが、問題や悩みをどのように解決できるのか
・どのような工夫、技術が盛り込まれているか
・商品化するまでにどのような苦労があったか
・社会や顧客からはどのような反応があったか
2.人物のユニークさの視点
経営者や開発者、部署の責任者などがユニークで主人公として成り立つか、いわゆるキャラが立つ人かどうかという視点です。
ユニークなキャラクターと言っても、突飛なキャラクターである必要はありません。例えば次のようなバックグラウンドのユニークさも、ユニークな要素となります。同じ商品でも、次のようなバックグラウンドがユニークな方が開発した商品なら、記者が取材する可能性が高くなります。
・異業種から転職した人
・主婦から起業した人
・日本で活躍する外国人
・都会から地方に移住した人
・男性が多い職場で働く女性
●広報担当者の「情熱」も大事
最後に、記者に情報を伝える際の広報担当者の「情熱」も、記者が取材先を決める際のポイントです。同じプレスリリースでも、広報担当者が目を輝かせながら、情熱をもってストーリーを語ることで、記者は「このネタ面白いんじゃないか」と心が動くことがあるのです。
(なお、上記の「●記者が取材テーマを決める視点」について、前に解説した「話題を作る切り口」は、記者が取材テーマを決める視点と共通します。必要に応じてご参照ください)
著者
門脇 純