ソーシャルインパクト評価の重要性

2015年6月1日

私は5月29日と30日に東京証券取引所ホールで開催された「社会的インパクト投資シンポジウム」(主催:G8社会的インパクト投資タスクフォース国内諮問委員会/日本財団/SROIネットワークジャパン)に参加しました。私がこのシンポジウムに参加したのは、ソーシャルインパクトボンド(SIB:社会的インパクト投資)が、社会のイノベーションを創出するトリガーになると予感したためです。期待通り、社会的イノベーションの可能性と期待に溢れた、すばらしいシンポジウムでした。

(シンポジウム概要 http://impactinvestment.jp/2015/04/529-302.html )
(SIBについては、こちらに説明があります。 http://www.nippon-foundation.or.jp/news/…/2015/img/40/40.pdf )

SIBは、社会問題解決のために、行政、投資家、事業者および中間支援組織が取り組む、資金を集めてイノベーションを促すプロジェクトです。社会問題解決によって行政コストを削減できれば、投資家は行政から資金的リターンを得ることができます。SIBでは、資金的リターンだけでなく、社会問題解決によるソーシャルインパクトも重視されます。ここで、投資家に説明する上で「ソーシャルインパクトをどのように評価するか」ということが課題となっています。
このソーシャルインパクト評価のモデルを構築するためには、事業におけるインプット、アウトプット、アウトカムのロジックモデル、それぞれの要素を定量的に評価すること、また、ステイクホルダー間のバランスや、短期と中長期のバランスをとることが重要です。このような評価は、国内において初めてのことではありません。2000年代前半、私は行政コンサルタントとして自治体の計画策定及び政策評価に携わっていました。その頃は行政関係者の間で「行政評価」のキーワードの下、事業や政策の成果を定量化する動きが広がっていました。インプット、アウトプット、アウトカムの各KPIを設計し、バランススコアカードの要素を取り入れたロジックモデルも検討されました。事例によって大きな違いはありますが、当時の行政評価モデルの優れた事例は、SIBの評価モデルと比べても大差がないように思われます。そこで、SIBのソーシャルインパクト評価モデルを検討する際には、これら行政評価の蓄積を活用することが望ましいのではないでしょうか。
なお、社会的インパクトの定量化(見える化)は、SIBだけでなく、IRの要請からも必要とされるようです。すでに上場企業は、ESG(E:環境、S:Socail、G:ガバナンス)の要素を取り入れた「統合報告書」を提出することが求められています。この流れが小さくなることはなさそうです。
以上のように、今後、ソーシャルインパクトの評価が、企業・団体の資金調達ひいては成長にとって重要な要素となりつつあると言えます。株式会社インフォデザインもこのような評価モデル・KPIの構築に携わることで、ソーシャルインパクトの創出に貢献したいと考えています。