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PRノウハウ29

よく驚かれるテレビ局の常識③

 
 テレビの特徴の1つは、速報性あるいはリアルタイム性があることです。数時間前に起こったこと、または今現在起こっていることを、画面を通して伝えることができます。この特徴があるため、テレビ局は当日に取材先を決めて、突然「今から取材に伺ってよろしいですか」と取材依頼があり、取材が行われる場合もあります。ただ、初めて当日に取材依頼を受けて、対応する取材先からはよく驚かれます。
 

 
テレビの取材は当日決まることがある
 テレビの取材は、前もって決まっているものと、当日決まるものがあります。
 前もって決まっているケースは、特集などの企画モノの取材があてはまります。数日前には取材先に取材申し込みをして、しっかりと段取りを組んでから取材が行われます。
 
 当日取材が決まるケースは、まず、ある話題を中心に報道することが決まり、それに関連する企業・業界・店舗の動向や、業界関係者のコメント、専門家の解説などを紹介したいという場合です。例えば、日本や海外の政府による発表、為替や原料価格の変動、統計の発表、気象や天候の変化、事件・事故、企業の新事業や新市場参入などの発表、などです。
 
 例えば、A社の製品を使用中に事故が起こったというニュースがテレビ局に入ってきたとします。テレビ局は、このような事故はこの製品の通常の使用方法の中で想定されうるものかどうか、同じ業界の企業や専門家のコメントを得たいと考えます。そしてこの条件に合う取材先を探します。
 
 また、予めプレスリリースでテレビ局にも案内していた、施設のオープンや、記者発表会の場合などのケースも、当日にようやく取材が決まる場合があります。その日のニュース素材は当日にならないと分からないため、ある程度ニュース素材が出揃った中で、取材先を決めるからです。
 
 
 
急な取材依頼を毎年受けているお店
 夏に最高気温が初めて30℃を超えた真夏日や、35℃以上を更新した猛暑日に、テレビのニュースで毎年のように取材されているかき氷屋があります。このかき氷屋も、当日、連絡を受け「今から取材に行ってよいか」と聞かれています。真夏日になる・猛暑日になることは、その日になってみないと分からないからです。午後2時を過ぎて最高気温が出たころに、名古屋地方気象台から、「今日の名古屋は真夏日になった」「猛暑日が〇日連続している」などと発表があってから、記者は取材を決めます。
 
 ただ、真夏日や猛暑日になることはある程度想定されるため、記者は予め取材先のめどを付けていることがほとんどです。初めて取材をしたときに、急な取材依頼にも対応してくれたお店として記者の印象に残り、毎年「また、あのかき氷屋に頼もう」と取材が繰り返されているというわけです。
 
 このかき氷屋のように、記者の取材先リストの1つになるためには、突然の取材依頼があったとしても、なるべく取材に協力するという姿勢が大切です。
 
 
著者
木下 真樹子