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PRノウハウ22

テレビ取材で大切な「取材対象者」のセッティング

 企業がテレビ局にプレスリリースを送った後、テレビ局から取材依頼があり、プレスリリースで伝えた内容以外に、あれもこれもとリクエストがある場合があります。企業にとっては、取材依頼はうれしい一方で、プレスリリースの内容さえ伝えてくれれば十分なのに、大変だなと思われるかもしれません。しかし、テレビ局がそのようなお願いをするのには、理由があるのです。

 

テレビ局は具体的な対象者への取材を求める

 企業が、新商品の販売、新しい教室の開講、新しい時短勤務制度の開始・・・などのプレスリリースを配信して、その後、テレビ局から取材を依頼されたとします。
 もちろん、プレスリリースに書いてある内容、商品そのもの、教室そのものの取材だけで終わることもあります。しかしながら多くの場合は、「その商品を買って使っている人を取材したい」、「その教室に通っている生徒を取材したい」、「その時短勤務制度を利用している女性社員を取材したい」と、具体的な対象者(社)へのセッティングをリクエストされます。
 
 企業としては、プレスリリースで知らせた、「新商品」、「新しい教室」、「新しい時短勤務制度」のことだけ紹介してくれればよいのに、なぜテレビ局は対象者への取材を求めるのでしょうか。
 その理由は、具体的な対象者を通して紹介する方が、テレビを見ている視聴者にとっては分かりやすく、内容が伝わりやすいからです。例えば新商品であれば、商品そのものだけでなく、その商品を買って使っている人が、どのように使っているのかを見せることになります。これはテレビだけでなく、文字媒体でも同じことが言えます。具体例がある方が人には伝わりやすいのです。
 
 以前、「休日保育を始めます」という内容のプレスリリースをいただいた保育園の休日保育を取材したときのことです。「なぜ、休日保育が必要なのか」ということを伝えるためには、日曜日に働きに出るお母さんを取材することが必要でした。そこで、その日に保育園を利用して仕事に出掛けるお母さんを取材したいので、事前に取材許可を取っていただけないかと、保育園にお願いしました。保育園からは、保護者にそのようなお願いはできないとの回答でした。そこで、当日朝に登園してきたお母さんに、個別に職場での取材をお願いすることになりました。当然ながら「そんな急に言われても」、「急いでいるので」とお断りの連続で、10人目でようやく「いいですよ」と許可をいただくことができました。取材を受けてくださったのは百貨店勤務のお母さんで、日曜出勤が必要な典型的な仕事の方でした。この取材が実現したからこそ、「保護者の就労形態の多様化に、保育園も柔軟に対応していくことが必要」という内容をきちんと視聴者に伝えることができました。ちなみに勤務先の百貨店の撮影許可も当日取って取材しました。
 
 

取材対象者を見つけておくことは、企業広報の大切な役割

 先の保育園の取材では、当日に取材対象者を求め、複数の関係者にあわただしく対応してもらいました。事前に取材対象者のセッティングをしておければ、このように当日複数の関係者に慌ただしく対応してもらわなくて済みます。メディアにスムーズな取材をしてもらうためには事前の準備が大切です。
 
 プレスリリースを配信したら、テレビ局が具体的な取材対象者に取材ができるよう、事前に複数の対象者候補に当たりを付けておくことは、企業広報の大切な役割の1つです。テレビ局側が乗り気な取材であれば、先ほどの保育園の例のようにテレビ局が自ら動いてくれる場合もありますが、いつもそうとは限りません。企業側で取材先候補をあらかじめ準備しておくことで、取材が実現する可能性が高くなります。そのように対応できる企業は、メディアにとりあげられる機会も増えます。
 
 以前、楽天からのプレスリリースで、画期的な取り組みで売り上げをアップさせた複数のショップを表彰するという情報提供がありました。表彰を受けたショップの企業には、楽天広報部がすでに取材許可を取った上でのプレスリリース配信でした。テレビ局は取材したいと思った企業に連絡さえすれば取材できるというものでした。さらに、間違いなく各局が求めるであろう三木谷社長の単独インタビューの日程候補も、併せて列挙されていました。ここまで事前準備をされていると、テレビ局としてはとても取材しやすくなります。今でも印象深く覚えている取材の1つです。
 
 また、複数の取材対象者の候補がある場合、それぞれの特徴をテレビ局に説明することも大切です。例えば、「このショップは自社倉庫の商品運搬システムが無人で動いていて、映像で見たときにおもしろいです」といった<映像としての特徴>、「こちらは高齢者夫婦が経営しているショップで、ネットショップを始めた経緯がとても興味深いです」といった<人に焦点を当てた特徴>などです。広報担当者のこうした助言を元に、テレビ局はどのような構成にしようかと想像を膨らませながら取材対象を絞っていきます。
 
 具体的な取材対象者を見つけ、取材の許可を得るなどのセッティングは手間がかかり作業です。しかし取材が実現してテレビで放送されれば、結果として大変さを上回る利益が企業にもあるということを、忘れないでいただければと思います。
 
 
 
著者 木下 真樹子